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私は禁煙を試みるどころか

短くなった煙草を灰皿へ揉み消すと

煙草の箱を取り、もう1本火を点けた






私は妊娠なんてしてないから

煙草吸っても大丈夫






何の頼りにもならない願掛け



そうかもしれないと思いながらも

いやいや大丈夫



「妊娠なんてしてないから」



自身に言い聞かせように呟いた




現実から逃げてしまいたい

何も考えたくない



煙草を吸う事により現実逃避している



自分で蒔いた種なのに、それから逃げたくて

長く重たい足枷に囚われながら

2本目の煙草も灰皿へ押し潰した
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