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「もし今産んだとして・・・」
慎司はゆっくり話し出してくれた
「情けないけど俺、定職に就いてないじゃん」
毎日出掛けて何をしているか詳しくは知らない
誰々の家に行ってくるとか
先輩に呼ばれたからとか
その程度しか知らない
「いつ定職に就けるか分からんし」
何度も面接に行ったり
短期のバイトに行ったり
そういうのは知ってる
「それなのに『産んでくれ』って言うのも無責任のような気がしてさ」
「・・・うん」
「ちゃんとさ俺も仕事して、お前の事養えるようになってからさ」
ちゃんと環境が整ってからのほうが
私もいいと思う
「だから今回はすまんけど・・・」
そうだよね
やっぱり、それしかないんだよね
「・・・諦めよ」