しらたまがーるず
それから、無事に職員室に到着し、俺は先輩の先生方に挨拶してから一足先に朝会の会場である体育館に向かった。
この学校の敷地の広さにはたまげたものだが、やはり体育館も相当の広さ。
この学校に足を踏み入れてからは驚いてばかりのような気がする。
やがて、学校の生徒達がぞろぞろと体育館に集まってきて、優良校だけにビシッと整列した光景は圧巻の一言。
数人の教師が点呼を取り、欠席者を除く全校生徒が集まったことを確認してから、教頭先生が開会の挨拶を始める。
若干三十の若さでその地位まで上り詰めた教頭先生は学歴優秀なエリート。オマケにイケメン。
教頭先生の挨拶が終わると、代わりに壇上に上がったのは長い金髪を左右二つに纏めた女の子。
プログラムでは『生徒会長から新入生へ』となっているので、あの子がそうなのだろう。
少女は中央に置かれたマイクを取り、話し始める。
「新入生の皆さんおはようございます。本校二年、生徒会長の桜井奏(さくらいかなで)よ」
ずいぶんとフランクな挨拶だ。
桜井といえば校長先生と同じ名字だけど……関係者なのかな?
桜井奏の挨拶はその後も軽い口調で淡々と進んでいく。
変にかしこまったところがない分、聞いているのは苦にならないし、新入生の緊張をほぐす意味でも彼女の親しみやすい態度は評価に値するだろう。
もし狙ってやってるんだとしたら、凄いリーダーシップを持ってると言える。
桜井奏の挨拶が終わると、次は遂に新任教師の挨拶。
今年の新任は俺だけらしいし、緊張は収まるどころか増す一方だ。