本屋の花子〜恋をしたら読む本〜
秋祭り
花子はあれ以来毎日の様に本屋に出勤すれば「魔法の傘」に色んな言葉を求めて目を閉じ右手の親指をページに挟みますよ。
その度に何をやってんねやって自問するのが日課となってしまいましたぁ。
面倒だと思う気持ちより先になるソワソワな心。
ただね。
まだ花子の気持ちはダーリンとまっさんとの間を行ったり来たり。
ダーリンへの憧れはまだ何にも知らない妄想だけだって解ってるのに
まっさんへの気持ちを封印してしまいたくなる時もあるのよね。
溜め息になるよ。
「接客サービス小池さん事務所までお願いします」
漫才師の様なまっさんの声がSマートの店内に響きました。
まっさん
呼んでくれるなよっ
花子忙しいぞ
半ば苛々しながら本日担当レジ花の1号レジ(一番入り口に近い一番忙しいレジ)に休止中の立て札を出した花子はの黒いローヒールの靴音をカツカツ鳴らして事務所に行きました。
花子のお出ましはこの靴音で解るらしい。
で、機嫌も解るらしい
「小池ちゃんまた何かイベントかなぁ?」
隣の2号レジにいた幸子ちゃんが悪戯に笑います。
「もうせえへんし」
「あっ!怒ってるぷぷ」
何か可笑しいのかな?
幸子ちゃん。
事務所に勢いよく入った花子は可愛くない声で言いました。
「店長。なにか?」
事務所で待つていたまっさんに花子は座らせ目を向けました。
「あっ小池さん?何で怒ってるんですか?」
「怒ってませんが用件は何ですかっ?」
「あぁ。今度の秋祭りのイベントがあるんですけど小池さんにやって貰いたい仕事があるんです」
やっぱりかぁ。