本屋の花子〜恋をしたら読む本〜
「もういいからお前消えろ」


コノヤロー

デブ!



恥ずかしながら怒るってな気持ちにはなれずに花子はまっさんの側に行きました。



「はいっ。どうぞ」



この場の怪しい空気を収めなければなりません。



迷惑ですよ


まっさん。


まっさんの左手を花子は右手で繋ぎ手をユラユラ振りながら半ば引っ張る様に歩き始めました。



ほんまにナンヤロ?



まっさん単純ですよ。


急に嬉しそうな嫌らしい目つきになり。



イヤイヤ可愛顔になり。


何だか幸せそうでしたぁ。



花子はマジで緊張してしまってますがね。


嬉しい気持ちになりました。



なのに数秒後



「痛い!」



まっさんが叫びました。



はぁ何で?



「お前。痛いねん力いれんでくれよ」



花子は手を繋ぐのが苦手です。



あれは高校生の頃。


仲のいい男子友達とふざけて手を繋いだ時に。



「手。でかいなぁ」



って言われたのがトラウマになっていますから。


だから。


嫌だったのにっ。



悲しくなります。


っかぁ。



まっさんよ貴方が駄々をこねたんでしょうがぁ。



花子半泣きなんですが。

言っても良いですか?



「私。手を繋いで歩いた事ないですからっ!」



花子の半泣きで目尻に着いたチョッピリの涙が、まっさんを動揺させてしまいました。



まっさんは少し考えてから。



「手を繋いで歩けよ」



そう言って花子の右手を優しく掴みましたぁ。



「俺が握るから小池さんはそのまんまでいいよ」



まっさんの手は花子より太くて広くて優しかったのよね。



また花子泣いてしまいました。



不覚ですよ。



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