本屋の花子〜恋をしたら読む本〜
そんな切ない夜だから僕は早々と飲み会を切り上げて静かな冷たい部屋に帰りました


ストーブに電気を入れてから少し温まると小さな黒い冷蔵庫からビールを出して来て一気に飲んだ後コートを脱いでベットに二本目のビールを持って座りました




テレビをつけて何となく無になっているとテレビの横にあるローチェストの上に置いてある写真立てが目にはいりました


浴衣を着た僕と水色に白い桜柄の浴衣を着て照れ笑いしている小池さんの写真でした


あの七夕祭りで浴衣を人生で初めて着せてもった僕は小池さんに教えられた事があるんです




あの日



「店長。着付けしますよ」


前日Sマートのブログ[店長松本の独り言]に書き込みをした僕人生初の浴衣が嬉しかったんで期待と不安を日記にしていました

接客サービスの女子の浴衣姿を全て作ったのは小池さんでした


浴衣に決まった時小池さんはかなり反対して怒ってましたが僕の挑発に戦闘開始した小池さんは2週間で着付けをマスターしてしまいました


凄い集中力で感心しましたね


僕の着付けが始まりました小池さんと密着です凄く嬉しいです



『まっさん変な事せんとってや』



『しませんここでは』





タオルを僕のメタボなお腹に巻きました。



ギュウギュウに締め上げる小池さんは何やら凄く楽しそうにニヤニヤしてましたね


『うっ』






初めて浴衣ってこんなにキツイのか?と素直に思いましたね


お腹が苦しくて歩くのがやっと小池さんが言っていた意味がわかりました


ヨタヨタ歩く僕の横を小池さんは颯爽と涼しげに通り過ぎて行きます


それも何度も『大丈夫デスかぁ〜』と歌うように















< 173 / 185 >

この作品をシェア

pagetop