本屋の花子〜恋をしたら読む本〜
『考えさせて下さい』



そう言うと小池さんは僕の横をすり抜けて売り場に戻って行きました


その時に小池さんの何時ものシャンプーの香りがふんわり残って僕を更に切なくさせたんです



送別会当日になりました。


Sマートの従業員約40名が何時もの居酒屋に集まりました


接客サービスの山口さんが小池さんに何度かメールを送ってくれましたが最初の一回だけ[折角の好意をお断りするん悪いと思いますが仕事になりましたのてみなさんで楽しんできてね。有難う]と返信があった後は何度入れても返事が返って来ませんでした


僕を避けているのは周りからも解っていた事で僕は小池さんを呼びに行ってくると鯛と2人で夜の晴山書店に行きました



小池さんは何時ものように本屋の棚の整理をしていました


その後ろ姿に声をかける事が出来なくなり入り口の角でその姿を見ていましたよ


何だか声をかけたら泣きそうなんですもん泣き虫なんで困ります



鯛も同じ気持ちみたいで悲しそうに小池さんを見つめていました


なんでしょうこの状況は

同じ女性に恋をしているライバルと並んで失恋ですよ


『まっさん。もう帰ろ小池をそっとしてやれ』


鯛はそう言って僕の肩を叩くと車にもどって行きました



その時に本屋の店内に流れていたクリスマスソングを僕は忘れません



クリスマスの時期になると何時も静かに思い出すんです





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