本屋の花子〜恋をしたら読む本〜




そんな事を思い出した僕はある場所へと車を向かわせました



僕。


Sマートの本部に転勤になったんです


桜の花弁が春の風に吹かれて牡丹雪みたいに舞う日でした


僕はあるビジネスホテルへに退職して以来一度も会うことも無かった小池さんに会うために行ったんです


風が暖かい光に包まれた午後1時過ぎでした


ホテルのフロントにSマートのレジで何時も見せていた【凛】として背中を伸ばし姿勢良く立っている小池さんはその姿勢を崩さないままで目を閉じまるで昼寝をしているみたいでした


Sマートでも良くやっていた小池さんの必殺技の一つを久々に見た僕は何だか懐かしかったです



『小池さん。こんにちは』


僕の声より前に僕を認識していたように静かに目を開けた小池さんは優しく笑うと言いました



『こんにちは。暖かくなったね』


『はい。いい気持ちです。小池さんの好きな青い空になりましたね』


『なったね。まっさん今日行くんだっけ?』

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