チョコレート*キス [短編]
そして、思った。
付き合ってるわけじゃないのに、と。
私だけを見ていて欲しいなんて所詮、片思いのわがままだと。
そう思った瞬間、こらえていた涙がはらはらと、私の膝の上に落ちた。
「ふっ・・っく・・・」
「え?」
最悪。
我慢してたのに、圭ちゃんに気づかれた。
泣いてるところなんか、絶対見られたくなかったのに。
「ちょっ・・・はっ!?どした?りぃ?」
そう言う声と私の背中を擦る手に、いつもの圭ちゃんの優しさを感じて余計涙が出てきた。
「ふぇっ・・・圭ちゃっ・・・・・!」
「おーよしよし。いきなり泣き出すなよ。びびるだろ。」
言いながら、私の頭を撫でてくれる圭ちゃん。
私に飽きたなら、そんな優しいことしないでよ。