伝えきれない君の声


目をこすり、
改めてお客さんの顔を見る。



そこには、
私と同じか少し上かくらいの年齢の背の高い男性が立っていた。


黒くて短い髪に、
黒縁メガネ。


そして水色のシャツ。
捲り上げた袖からは健康的な色の肌が覗いていた。


どちらかというと、体育会系…?



「そんなまじまじと見られると、困るんだけど…」


「えっ、あっ、すみません!」


「変わった店員さんだな。」


男性は「あはは」と笑い、
白い歯覗かせた。


目尻が下がり、優しい印象にガラリと変わる。



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