伝えきれない君の声


彼はアイスコーヒーを頼むと、
待っている間店内を見渡していた。


「なんでギターなんてあんの?」

馴れ馴れしさがやや気になるけれど、
寝ていた私が言えることじゃあない。


「夜になると、ここはバーに変わるんです。
だから音楽を演奏したりするんですよ。」


「へぇ〜。あんた、歌えんの?」

「えっ、まぁ…」


「すげーじゃん!聞かせてよ。」

「今ですか?」


「うん。よろしく!」


「よろしくって言われても…」



似た類の会話が続き、
とうとう折れたのは、私。




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