伝えきれない君の声


コーヒーを飲み終えた頃、
他のお客さんがいなくなるのを見計らい、


彼はカウンターにやってきた。


「あ、受け取ります。」


彼の手からグラスを受け取ろうとすると、


「…あのさ、今夜時間ない?」


突然のお誘い。


「えっ…?」


「ちょっとで良いんだけど…ダメ?」


「まだ、仕事が…


「どーぞどーぞ、持ち帰ってやって下さい!」


割り込む店長。
いつから聞いてたのよ。


「んじゃあ、お言葉に甘えて。」

ニヤリと笑うその表情。


不覚にも胸は高鳴った。





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