伝えきれない君の声


きょとんとする私を横目に、
菅原さんは深くため息をついた。

「…っとに」
面倒くさそうに呟くなり、
私の肩に手を置いた。


思わずピクリと反応してしまう。

菅原さんは私の体を、自分のほうへと向けさせる。


そして…


「俺、あんたのこと、なんかわかんねぇけど、すげぇ気になんだよ。」
なんて、照れ臭そうに言う。


じっと瞳を見つめてしまうと、
逆に反らされてしまった。


「上手く、言えないけど…
またこうやって、会ってくんない?」



無意識の片隅、


頭の脳裏で、彼の


倉田瑞季の顔が浮かんだ。



< 122 / 154 >

この作品をシェア

pagetop