伝えきれない君の声
――大雨洪水警報。
テレビに映し出される文字。
「店長〜。お客さん、来ますかね?」
夜になればなるほど酷くなる雨足。
大粒の雫が流れる窓を見上げ、
店長に呼び掛けた。
「今日は、バーは開けないな。
栗田ももう帰っていいぞ。」
「店長は帰らないんですか?」
「俺はもう少し、倉庫を整理してから帰るよ。」
明日にまわすと面倒だからな。
店長は言うなり、雨足の強くなる窓を見た。
「なら、私も手伝いますよ。
2人でやったほうが早いし。」
そんなこんなで、私たちは倉庫の整理を雨の降る中、開始。
外からは相変わらずの雨音。
「在庫確認も終わったし、
栗田は表戻っててくれ。」
「わかりました。…じゃあお店も閉めがてら、コーヒーでも入れますね。」
「気が利くね〜。」
店長の言葉に微笑み返し、
表へと戻る。
酷い雨。
早く戻らないと。