伝えきれない君の声
悲惨な事実なんて関係無しに、
私はやっぱり彼が恨めしくもある。
いつも、私の心を掴んで離さない。
…いや、ただ私が彼の心に捕まりたいだけなのかもしれない。
罪深いのはどっちだろう?
「……ごめん…」
「えっ…?」
「俺の、せいだよね…」
「何がですか?」
いきなりの言葉。
悲しげな声色。
タオルで隠された顔には、
今一体どんな表情が隠されているんだろう。
ああ、もう自分から言ってしまおうか。
そのほうがスッキリするよね。
そんな苦しそうな姿、見たくない。
…違う。
苦しいのは、私だ。
私がもう、苦しみたくないんだ。