伝えきれない君の声


静まりかえった室内。


2人の距離はさほど遠くないのに

今はもう、何も感じない。
感じることができない。


私だけの、一方的な会話。


目線を外し、俯く彼。


浅く響く、自分の呼吸。





「…お茶、入れますね。」


なんて無意味な発言。


この空気から逃れるように、
キッチンへと向かう。


パサリとタオルを置く音。


(帰るのかな…)


もう駄目だと、思った。





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