伝えきれない君の声
「……た…栗田!」
店長の声で我に返る。
「は、はいっ!何ですか?!」
「何ですかってお前、ぼーっとし過ぎだろ。」
私の横を通りすぎるなり、
コツンと頭を叩かれた。
「そんなこと……
「あるね。大アリだね。
あの若い兄ちゃんが現われてからだな、うん。」
あの若い兄ちゃん…
倉田瑞季のこと?
店長は1人で納得したように頷いたあと、
私を鋭く見た。
「な、何です?」
「栗田、やっぱりお前…」
ニヤリと笑う店長とは裏腹に、
私は唾をゴクリと飲んだ。
「あの兄ちゃんのことが好……
「すみませーん。」