伝えきれない君の声


ドアを見ると、
テレビ局のマネージャーらしき人が


「注目お願いしまーす。」


と半ば気だるそうに言った。


「はいはーい。ちょっと待って下さいねー」


と店長は早足でカウンターへと向かった。



店長が言いたかったことは、
嫌なくらいに、わかる。


でも言われなくて良かった。


だって、
どんな反応をしたか、


それも嫌なくらいにわかるから…



「栗田、店番よろしく。」


店長はさっきの気だるいマネージャーの注文を届けに
店を出た。


私は深く息を吐き、
取り敢えず食器の整理を始めた。




――と、その時。






< 40 / 154 >

この作品をシェア

pagetop