伝えきれない君の声
ドアを見ると、
テレビ局のマネージャーらしき人が
「注目お願いしまーす。」
と半ば気だるそうに言った。
「はいはーい。ちょっと待って下さいねー」
と店長は早足でカウンターへと向かった。
店長が言いたかったことは、
嫌なくらいに、わかる。
でも言われなくて良かった。
だって、
どんな反応をしたか、
それも嫌なくらいにわかるから…
「栗田、店番よろしく。」
店長はさっきの気だるいマネージャーの注文を届けに
店を出た。
私は深く息を吐き、
取り敢えず食器の整理を始めた。
――と、その時。