伝えきれない君の声
「はい。こちらのカウンターからお選びください。」
私の言葉に遠慮げに頷き、
カウンターへと歩きだす。
その瞬間、
香水の香がした。
女性は、メニューをじーっと眺めたあと、
「キャラメルマキアート1つ。」
と言う。
「かしこまりました。」
私は勘定を済ませ、
キャラメルマキアートを作り始める。
が、そのとき
いつもと違う違和感を感じた。
私はその違和感を確かめようと振り向く。
すると、
その女性が私を、見ていた。
それも、
無の表情で。