伝えきれない君の声


「…ぇっ…」


その表情の冷たさに、
思わず漏れた声。


私の声で我に返ったのか、
女性は慌てて


「…ごめんなさい…」
と呟き、下を向いた。



私は何も言えず、
動揺を隠そうとまた後ろを向く。


あんな表情で見られるなんて。


しかもさっき会ったばかりの人に。



……本当に、会ったばかり…だよね?




コップを持つ手が、
やけに震える。


吐いた息さえも、震えた。







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