伝えきれない君の声
「それにしてもひどいな。
やっぱあれか、地球温暖化ってやつか?」
せっかくライブができると思ったのにー。
と、店長は愚痴をこぼす。
そんな店長に、
「お前はガキか。」と、
佐野さんが笑いながら言った。
私もつられて笑ってしまう。
「ほんと止まないですねー…」
雨が叩きつける道路を見つめていると、
こんな中、
傘もささず歩く人を見つけた。
スーツ姿。
会社員かな?
俯き加減で歩く男性。
今は赤信号。
彼の顔がゆっくりと上がり……
「…えっ…」
倉田…瑞季…?
「すみません!あのっ…下ろしてもらえますか?!」
「え?!こんな大雨なのに?」
佐野さんは不思議そうに
私を見る。