伝えきれない君の声


「それにしてもひどいな。
やっぱあれか、地球温暖化ってやつか?」


せっかくライブができると思ったのにー。
と、店長は愚痴をこぼす。


そんな店長に、
「お前はガキか。」と、
佐野さんが笑いながら言った。


私もつられて笑ってしまう。


「ほんと止まないですねー…」


雨が叩きつける道路を見つめていると、









こんな中、
傘もささず歩く人を見つけた。


スーツ姿。
会社員かな?



俯き加減で歩く男性。



今は赤信号。


彼の顔がゆっくりと上がり……



「…えっ…」



倉田…瑞季…?



「すみません!あのっ…下ろしてもらえますか?!」


「え?!こんな大雨なのに?」


佐野さんは不思議そうに
私を見る。



< 47 / 154 >

この作品をシェア

pagetop