伝えきれない君の声
昨日、
倉田瑞季と女性を見つけたあと、しばらくの間、整理がつかなくてその場に立ちすくんでた。
あまりの手の冷たさと、
吐く息の白さに
慌てて家路を急いだ。
…自業自得。
それが今の私にはピッタリかも。
ケースから出したままのギターをポロン…と鳴らし、
寂しげに部屋に響いたあと、
どしゃ降りの中の倉田瑞季を思い浮かべ、
再び眠りについた。
――…ン、ピンポーン…
夢なのか、現実、なのか。
家のインターフォンは鳴り続ける。
だんだんと戻る意識。
むくりと体を起こした。