伝えきれない君の声


すると、
男性の表情がパァッと明るくなるのがわかった。


「そうなんですか?すごいですね。コーヒーショップから、バーになるなんて、斬新だ。」


「珍しいですよね。」


「あの、演奏だけですか?
ボーカルは……?」


「…いますよ。一応。」


さらに明るくなる、彼。


「それも店長さんが?」


「いや、それは店長じゃなくて……」


気まずそうな私を不思議そうに見つめると、


「あ!もしかして……



あなたが、ボーカル?」


伺うように、首をかしげる。


バレてしまったら、仕方がない。


「…はい。」



そうなんです。
私ここで、ボーカルやってます。



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