バレンタインキッス 【短編】
そこには、A組の星野舞ちゃんが立っていた。
その子は、学年でもかわいいと評判の子だった。
そしてあたしの元へ来て言った。
「あの…桜井さんだよね?」
いきなり聞かれてドキッとした。
「はい…」
「お願いがあります!これ、神谷くんに渡してください!」
目の前に差し出されたのは、綺麗にラッピングされた箱だった。
一目でこれは、チョコだとわかった。
ってことは…
星野さんも、神谷くんのこと…
「だめ…ですか?」
あたしの顔を覗きながら聞いてきた。
いやだよ…あたしだって…好きなのに
あたしが無言で戸惑っていると彼女は更にお願いしてきた。
「お願いします!」
「うん…わかった!」
あたしの馬鹿…
断ればいいのに…
「ありがとう!」
そう言い、彼女は去った。
あぁ、あたしって…
本当ばかだな…