カナリアンソウル
『そーいうことはさ。一番大事って思った人に言わなきゃ。』


「なにそれ。じゃあ俺がお前に言ったのは正解だよ。」


陸斗の両腕が、あたしの体をきつく抱き締める。


『…紗香さんは?』


「なんで紗香が出てくんの。お前、紗香に妬いてんだ?」


『…そうだよ。悪い?』


「全然。むしろ嬉しいよ。」


陸斗は呆れたように笑った後、あたしを肩を掴んでそっと離した。


「お前は俺が惚れた女。だから自信持ちなさい?」


『うん。』


「何か、言いたいことはありますかっ?」


『う、ん。あたし…』


彼は、優しい顔で片方の眉を少し上げて、言ってみなよ。って合図した。


『あたし、今…護りたい人がいますっ!』


「正直で、宜しい。今の結衣、俺より男らしいんじゃないっ?」
< 101 / 116 >

この作品をシェア

pagetop