カナリアンソウル
短時間で色々考えたが、不思議と何も言い返す気になれなかった。

怒って逃げるとか、ありえない〜!と喚く彼女。

そう伝わっていたとは…と思い、私はデコに手を当て少し後ろに反り返る。

「強がりはやめなさい」

ひろみは私の肩を叩いた。

顔にはまぶしいばかりの表情をうかべている。

私に何かを教えたがるたぐいの表情。

「貴は私のこと恋愛対象として見てないと思うんだ」

私は自分で口にして、虚しい気持ちに駆られた。

告白されることに免疫の無い私でも、あの言葉に気持ちがこもっていないことは、百も承知していたからだ。

「出すぎた善行なんてものしても余計なお世話だよね。うちの考えを瞑に押しつけるってことはしなくないんだけど」

ひろみの左腕が、私の右腕に絡まる。

自分がなにも悪いことをしていないとわかっていても、ひろみの前に立つと、なぜか罪の意識にかられてしまう。

私は、繋がれてない方の腕で静かに顔を隠した。

「泣くなよぉ〜」

「ひろみが離れて行きそうで怖いって思った。卓人のこと、マジで好きじゃないからねっ…」

「わかってる。わかってるし、うちはそんなことで離れて行かないよ?」
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