カナリアンソウル
ひろみは不貞腐れた様子で机に突っ伏したので、私は変なストーカー先輩から、一応勧誘が来てることを話した。

「うち、瞑は絶対にその変な先輩の部活入ると思う。押しに弱そうだし」

「絶対無い。毎日教室に来てチラチラ見てくる先輩がいる部なんて、キモいし嫌」

「1000円、頂戴ね」

ずうずうしく出された掌を軽く払いのける。

「あっそ。瞑って高校卒業してもやりたいことない〜!ってなって、そのうちデキ婚とかしそう」

「デキ婚じゃないし。今はおめでた婚だし」

「は?んなのどっちでもい〜し」

この後、結局あたしは1000円払う方向になったんだっけか。

「高瀬と早坂。お前等、早く帰らないともう学校閉まるぞ」

ヒョッコリとドアから顔を出した、担任の佐藤。

「はぁーい。今帰るから待って、佐藤」

「佐藤“先生”だろ!」

「瞑、佐藤って先生だったみたいだよ?」

「こらこら、早坂まで…」

「私、佐藤より藤田の方が好き。可愛いもん」

「うちも〜!藤田可愛いと思うに一票!」

「好きとか可愛いの問題じゃないだろ。先生バカにしてないで、早く帰りなさい」

出席簿で頭を軽く叩かれる感じ、嫌いじゃない。
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