カナリアンソウル
眠い中で軽く化粧をして、学校に向かった。

途中、ひろみと貴を見かけたので、手を振り間に入れてもらった。

ひろみはそういえば、病院に行って来たんだけどただの生理不順だったよと説明をしてくれた。

え? 生理不順? と思わず声を上げると、病院でそう言われたとひろみは静かにうなずく。

最近色々あって混乱してたからかもねとひろみは深い声色で語った。

学校に着くと卓人が下駄箱に靴を入れていた。

いきなり気まずい空気になり、少々気分が塞いだが、ひろみが真っ先に駆け寄った。

「あいつ言わなかったけど、一ヵ月入院するらしい。検査入院だって」

貴は胸から下げたネックレスを指でクルクルさせる。

「それ本当の話?」

乾燥してもない手の甲を撫でながら、私は何となしに訊ねた。

検査入院のわりには長い気がする。

指に引っ掛けたネックレスを眺めていた貴だったが、

「心配なの?」

と急に真面目な顔に戻って視線を向けてきた。

妙な質問をするもんだと思いながら、私は下駄箱の下に敷かれる緑色の絨毯をぐっと睨んだ。

「卓人とひろみ、いつ戻ったの?」

今更聞くのもどうかと思ったけど、なんとなく。
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