カナリアンソウル
教室に入ってからというものの、いつもならそんな仲良くない人ともくだらない話をするのに、朝からどっと疲れが出たせいか、周りの声にも耳を向けず机に突っ伏した。

「瞑、おはよ」

頭上から声がして薄目を開ける。

「あっ、ひろみ。おはよ」

明らかに動揺した。

「そんなびびらなくても話はコイツから聞いたよ」

ひろみが隣を指差した。

銀色の髪が、万華鏡のようにキラキラ眩しくて、また目を閉じた。

綺麗な銀色。

「おきろー!うちはもう卓人と別れたんだし、瞑には怒ってないよ」

とひろみは眉を下げて笑った。

別れてしまえば相手の自由なのは確か。

私は立ち上がり、「好きな人いるから気まずいんだけど!」と隣の銀髪を指差した。

ひろみは顔を赤くすると、自分の席に座って、再び突っ伏した私のほっぺとか首を軽くツンツンしてきた。

「なかなかやるねえ。卓人も瞑のそーゆーとこに惚れたのかな?」

さっきのは勢いでなっただけだからと落ち着いて答え、銀髪をチラっと見た。

「瞑が俺に三年も片思いしてんの皆知ってるよ」

「貴、何言ってんの。そーなの?」

顔を上げると、じっとこちらを見つめるひろみ。
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