カナリアンソウル
―五月十二日。


「おじゃまぁ☆一服しに来たりぃ♪」


果穂は、あたしが学校を休んで居ないときとか良く帰りに家に寄った。


『はい、灰皿』


「ありがとぉ〜☆今日ずっと寝てたの?」


『まぁ、んなとこ』


「果穂も眠いから寝るわ。今日の授業、先生ウザくてさ。寝れなかったんだぁ…」


煙草を吸いながらベッドにゴロンと横になって、あたしに背を向ける果穂。


猫背の丸い背中。


『果穂さぁ、あたしと毎日居て飽きない?』


なんとなく思ってたこと。


果穂は煙草の煙をポケーっと出して目だけでこっちをチラッと見た。


「全然」


『学校行ってさぁ、あたしが休みのとき何してんの?』


「その辺のクラスの友達と居るよ。何で今更そんなこと聞くの?」


そうだ。


果穂は違うクラスだし、明るくて人懐っこいから、他にもつるむ友達ならいっぱい居るに違いない。


『別に…聞いただけ』


「ふぅ〜ん。誰と居ても、果穂には結衣が一番だけどね」


嬉しい反面、


果穂がいつかあたしから離れて行ったら…


って考えたら怖くなった。


『あたしも果穂が一番の友達だよ』
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