カナリアンソウル
家に帰ったら誰もいなかった。


母さんも父さんも弟もいっつもいないけど、


変なの。


いっつもならばあちゃん出で来て、ウザいぐらい話し掛けてくるハズなのに。


『ばあちゃーん?』


今日は部屋の電気すら付いてない。


『寝てんの〜?返事ぐらいしなよ〜…』


ばあちゃんの部屋のドアが半開きになってた。


『ばあ、ちゃん…?』





ばあちゃんが入院した。


心筋梗塞という病気で、急に倒れるらしい。


一緒に住んでいても、こうなる時は誰も側にいない。


何歳になっても自分が本当に助けを求めたいときは、誰も側にいてくれない。


あたしは昼間来たばっかりの病院にまた来ていた。


仕事帰りの母さん、部活終わりの弟、父さんは汚い格好のまま。


仕事の途中に急いで来たみたいだった。


あたしはばあちゃんが大嫌い。


何回も同じこと言うし、何でもしつこく聞くし…


一番嫌なのは、あたしが怒ったらすぐ金で解決しようとすること。


あたしは金食い虫じゃねーっての。


親に対する反抗期は、全てばあちゃんに向けられてると思う。


いや、間違いなくそうなんだよね。
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