カナリアンソウル
『明希、携帯持ってる?』


「携帯?あるよ?」


『貸して!』


「おっ…おお…」


明希が出した携帯を奪い取って、あたしの名前メモリーに入れた。


『何かあったらすぐ連絡して!何でも良いから、すぐに!』


分かったよ。明希は優しい声で言った。


あたしは、ばあちゃんが嫌い。


『入院するときも逐一報告!ばあちゃんの見舞いついでに明希んとこにも行くから!』


―…大嫌い。


指さして宣言したら、わかったわかったって。


バレバレな嘘に笑われた。





『…もう一個、』


「ん?」


『良い?』


「な〜にっ?」


『もっかい、ギュウして』


ビックリした顔。


「…かあ〜わいっ」


照れた顔。


『可愛くねーしっ』


優しい笑顔。


「その言葉使いさえ直せばバッチリなのに」


可愛いのは明希。


『悪かったね』


「俺は好きだけど」


『勝手すぎ』


明希に抱き締められるとさ、凄い安心すんだ。


自分でも良くわかんないんだけど、モヤモヤが全部吹っ飛んでく感じ。


言葉じゃないナニか。


なんだろうね、


この気持ち。
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