カナリアンソウル
明希は毎日あたしが思っていた以上に不安を抱えて、怯えて生きてたのかもしれない。


「なあ、お願いあんだけど」


『お願い?』


「夏になったら、祭り一緒に行こう?」


一緒にって…


『入院してんじゃないの?!』


「外出届出すから!」


『まぁ、大丈夫なら…』


「大丈夫!二人で行こうな!」


『はいはい。明希は人を外見より中身で見るタイプだね』


あ…今の、自意識過剰で自分の性格に自信あんのか?ってなっちゃうね。


「俺、見る目はあるからなぁ〜」


『あの〜…他人の言葉で人を判断しないで、ちゃんと自分の目で見てるって意味だからね?』


完璧に墓穴。


あたしは撤回することに必死。


「へいへい。ちゃんとわかってますよ」


『何かあたし、自分可愛いみたいじゃん』


実際、タカが明希に教えたことに嘘はないと思う。


「そう?ちゃんと俺を褒めてるように聞こえたけど?」


『なんか、それはそれでムカつく〜』


でも明希は、明希と居るときのあたしを見てくれてるんだって…


やっぱり何か安心した。


「あー!今からスゲェ楽しみだなぁ〜!結衣も?」
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