カナリアンソウル
明希は先週、再入院した。


本人は慣れっこなのか、何も言わずにおとなしく入院している。


「今日はこれからどーするぅ?」


『ちょっとスーパー寄りたいんだけど』


「またぁ?別に良いけどね♪」


『いっつも、ごめんね』


あたしは毎日またお見舞いに行って、毎日明希の顔を見てる。


「…ねぇ、結衣?」


『ん?』


「ずっと思ってたんだけど、いっつもリンゴ買ってどこ行ってるの?」


『えっ…』


ついに聞かれる時が来たか。


そう思った。


「いや、言いたく無いなら全然言わなくて良いんだぁ★」


『そんなんじゃないよ』


誰かを繋ぎ止めておくのに必死なときって滑稽。


秘密をさらっとバラしたり、言いたくないことでも言わなきゃって思うから。


自分が必死になればなる反面、誰かが離れて行く空回りがまた滑稽。


「やっぱ聞かなくていーや♪果穂的に興味無いし!」


本当は凄く知りたいんだろうけど。


『そう?』


「そうそ」


これが果穂らしいと言えば果穂らしいんだよね。


『今度話すよ』


「わかったぁ!果穂、気長に待ってみる〜」


『うん』
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