カナリアンソウル
果穂と別れて今日も病院に向かう。


「結衣、宿題とか無いの?毎日来てて大丈夫?」


明希は、あの電話で話した次の日からずっとこんな感じ。


宿題なんてあっても忘れてやらないし、他にやることもない。


余計な心配しないで明希には、あたしとの貴重な時間を満喫して欲しいもんだ。


『もぉ、大丈夫だって言ってんじゃん!』


「だって…心配だからさ」


『心配?バカとでも言いたいの?』


「バカでしょ?」


『まあね。そこは否定しない。明希は頭良いもんねえ〜』


少し大きめに切られたリンゴを頬張った。


「怒んなよ。恐くないけど」


…ら、明希の顔が近づいて来てあたしの口に入ったリンゴを奪った。


今のは…


なに?


「へへっ…」


『そんな可愛い顔しても駄目。今なにしたの?』


「食べさせて貰っただけだし」


『不貞腐れても駄目!あたしをからかうのも駄目っ!』


「からかってない。いっつも本気だもん」


そんな怒んなくても良いじゃん!ってそっぽ向いた明希を見てたら笑えた。


どっかの小学生みたい。


かと思えば急に大人の顔になったり、忙しない人。
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