カナリアンソウル
―六月十二日。


「今週から高体連の全道だから気ぃ引き締めて行けよー!」


朝のHRで担任が言った。


しかも見事に全員シカト。


ガッコの先生も大変だね〜とか一瞬だけ思った。


教室にいる生徒は皆、テストやら部活やらに追われてうなだれる毎日。


「ねぇ結衣、リンゴとはどう?最近病院行ってんの?」


あたし達は机にアゴを乗せて手も足もダラっとさせてた。


まるで怠け者みたいな格好。


『え。病院って…なぜ?』


結局、明希との詳しい関係は果穂に何も教えてないまま。


「毎日リンゴ買ってりゃ見舞いかなんかだってわかるよ」


『ややややや…』


「なんだぁ、良い感じの人出来たんじゃないのか…」


言わなくても気付いてるのかな…


なんてたまに思う。


もう勝手に、リンゴって呼んでるじゃってるし。


気付いてるなら気付いてるで、さすが毎日一緒にいるだけあるって感じ。


毎日一緒にいるだけじゃここまで分かりあえないと思うけど。


『てか、自分のクラス戻んないとそこの席の人座れないよ?』


「へいへい、帰りま〜すよ」


果穂は、ダラダラと立ち上がった。
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