カナリアンソウル
その後ひたすらほっぺつねりあったり、叩いたりしてた。


陸斗って、実はそんなに悪い人じゃないのかも。


「お前、彼氏いんの?」


『へ…いない、けど?』


いきなりすぎて変な声出たし。


「いつから?」


『高一の…入学した辺り?』


あんたが真剣だから、柄にもなくマジ答えしちゃったじゃんか。


「俺に聞いてどーすんの?」


『んだね、ごめん…』


入学したばっかの頃って、恋して好きな人が出来たり彼氏出来るのが嬉しくてドキドキとかワクワクする毎日を求めてたっけ。


いかにも“恋したいでーす!”みたいなどこにでも居る高校生的な考え。


今は全く興味無くなった、と言うか誰かと付き合いたいとかって気持ちが無い。


「お前って話の途中でたまに、スゲー寂しそうな顔してるよね。眉間にシワ寄せてババアみたいな顔」


ババアみたいな顔で寂しそうって何よ?


「まだ会ったばっかだし、良くわかんねーけど」


―悔しい。


その意地悪な顔やめて。


「…何か言いたそうな顔」


言いたいことは沢山あった。


でも何をどう話せば、自分がスッキリできるかわからなかった。
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