カナリアンソウル

親友

名前を呼ばれ、返された紙切れを見た後で愕然とした。

私マジでこの学校通った意味無い。

「これ見てよ!私…学校辞めることになるんじゃない?」

ひろみに紙切れを見せたら、「すばらしいね」と褒められた。

最後のこれに賭けてたのに、呆気なく夢は崩れてしまった。

ひろみは少し頷いて、「全教科すばらしかったね」と繰り返し、そっと紙切れを裏返すと、部活の時間だよとさっさと教室を出ていった。

階段をダラダラ下ってる途中に聞こえた、賑やかな会話。

内容は勿論テストの結果について。

「テスト死亡だけど〜」

「もう無理。大学落ちたらなにしたらいい?」

「どーでも良いじゃん」

微かに聞こえた。

「貴ー!」

すぐに声の主が誰だか分かった私は、階段から身を乗り出し叫んだ。

「なに〜?そんなにおっきい声出したら近所迷惑」

貴に聞こえるように。

「私、今回は今世紀最大にやばい!きっと怒られるの決定だ」

「誰に?お母さん?」

「多分、そうかな?」

「怒られる結果を出したんだから、自業自得だろ」

私は思わず一歩、後退りながら廊下の端を横目で睨んで、そりゃそうだよなと心でつぶやいた。
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