カナリアンソウル
私はどうしたら良いか分かんないまま、苦しそうな貴背中を必死に擦った。
腹減った 貴は床をしかめていた顔を急にこちらに向けた。
「リンゴ、食べる?」
皿の上にあるリンゴを一つ取った貴は、三口ほどで食べ終わると話始めた。
最近買った“バイク”について、嬉しそうな声で語り始めたのである。
妙なことだが、それは私が知っている話だった。
もちろん、すべてを知っていたわけではない。
だが、それは間違いなく、以前、ひろみのお見舞いに行った帰りに聞かされた“良い物”の話だった。
私は言った。
昨日も夜遅くまでずっと、それで遊んでたから風邪引いたの?と。
ばれた? と声を上げた貴に私はゆっくりと告げた。
絶対に事故だけは嫌だからね――。
私は言った。
勿論バイクの免許はあるんだよね?
遊ぶのは勝手だけど、風邪で休むの一言ぐらいあっても良いじゃん。
カラオケの次の日に休むから、何かと思ったし。
だけど、それはただの八つ当たりといえば八つ当たりという結果になる。
というのも、貴は連絡できそうな状態ではなかったからだ。
おそらく卓人は、担任から風邪のことを聞いたに違いない。
腹減った 貴は床をしかめていた顔を急にこちらに向けた。
「リンゴ、食べる?」
皿の上にあるリンゴを一つ取った貴は、三口ほどで食べ終わると話始めた。
最近買った“バイク”について、嬉しそうな声で語り始めたのである。
妙なことだが、それは私が知っている話だった。
もちろん、すべてを知っていたわけではない。
だが、それは間違いなく、以前、ひろみのお見舞いに行った帰りに聞かされた“良い物”の話だった。
私は言った。
昨日も夜遅くまでずっと、それで遊んでたから風邪引いたの?と。
ばれた? と声を上げた貴に私はゆっくりと告げた。
絶対に事故だけは嫌だからね――。
私は言った。
勿論バイクの免許はあるんだよね?
遊ぶのは勝手だけど、風邪で休むの一言ぐらいあっても良いじゃん。
カラオケの次の日に休むから、何かと思ったし。
だけど、それはただの八つ当たりといえば八つ当たりという結果になる。
というのも、貴は連絡できそうな状態ではなかったからだ。
おそらく卓人は、担任から風邪のことを聞いたに違いない。