カナリアンソウル
「…もうその話は良いよ。俺が悪かったって」


本当にめんどくさそう。


『その言い方何?ハッキリしない関係だから言ったのに』


あたし、明希があのとき言った言葉聞いてたんだよ。


寝たの見計らって言うとかセコすぎだから。


『あたし、病院来るのめんどくさくなったんじゃないんだよ?』


「別に聞いてないよ」


『そう、だね…』


明希からの言葉ばかり待って、自分の口から言おうとしないあたしはズルいのかな…


“好きなんて言葉、聞いてないよ”って嘘吐いて。


色々考えて整理してからまたここに通おうなんて、甘い考え。


明希の前でも“嘘吐き”になったんだ。



『明希、淋しかったの?』


「……………、」


明希は苦しそうな顔をした後に、あたしを睨んだ。


『ごめ…、』


「果穂ちゃんと毎日いるんだろ?俺んとこもう来なくて良いから」


何も悩む必要なくなっただろ…って彼は擦れた笑顔を見せた。


それは明希を忘れろってこと?


きっと…


そうだ。


『あっそ。じゃ、あたしは彼氏んとこ行ってラブラブするよ!じゃあね』


…彼氏なんて居ないけどさ。
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