カナリアンソウル
その日以来。


あたしと果穂はいつにも増して、一緒にいるようになった。


毎日、絶対どっちかの家に泊まったりして。


本当の家族みたいに。


「結衣ー!結衣も果穂と同じとこにやろうよ!」


『良いよっ!』


毎日が楽しすぎて、何をしても後悔なんてしない。


怖いモノも無いと思っていた。


「よぉーっし!行くよ!」


『きゃー!ハハハッ!』


叫びの様な自分の笑い声に混ざって、ジュッと焼ける音。


「タノシイネ!」


『ウン!ヤバイ!』




明希、ごめん。


やっぱり、もう明希には会わない。


いや。


会えないんだ―




タカからの伝言は何の意味も無くなった。


あたしには、果穂しかいない。


だって果穂はあたしを離すようなことしない。


『もう誰も居ない世界にいっちゃいたい…。うち等以外の誰もいないトコ』


「それ良いっ!二人なら毎日楽しいし気楽だよ?親にうるさく言われる必要も無いんだから♪」


『そうだ。うちら二人だけなら、どこ行ってもずっと楽しくやってけるよ』


果穂が居ないと何も出来ない自分を、隠すことに必死になっていた━…
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