カナリアンソウル
廊下まで出たは良いけど、足がなかなか進まない。


果穂、今何してるんだろ。


クラスの友達といるか、それとも陸斗達といるかな。


鳴海に全然会ってないな。


毎日子育てに苦戦してるのかな。


美加とタカはあれからどうなったんだろ。


特別知りたくもないけどさ。


あたしは今何してるんだろう。


明希にリンゴを運ぶ役かな。


明希には心配してくれるお母さんがいるから、あたしのリンゴとか何の意味もないのかもしれない。


携帯電話のメモリーをカチカチと、ただひたすら行ったり来たり。


皆、あたしが一人消えても生きていける。


そんなの当たり前だ。


一体、あたし何の為に生きてるの?


「人生の目標がないから何をしても無意味に感じるのよ」


もう一人の自分は言った。


目標ってナニ?


じゃあ、皆はそのナニかに向かって生きてるって言うの?


学校の検定に受かる為に毎日勉強したり、好きな人と付き合えるようにアピールしたりすること?


いつも病気と向き合って生きること?


そんなの何一つ、


あたしには無いよ。


無理に見つけるなんてメンドくさすぎ。
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