カナリアンソウル
―十月八日。


「結衣って奴いる?」


あたしのクラスに集団で押しかけて来た女子。


やっぱり来たかって感じ。


ブス女が陸斗を好きなのはとっくに気付いてた。


あたしと陸斗が一緒にいたら何かと間に割り込んで来るし。


第一、陸斗に対する話し方とあたしに対する話し方に差が出過ぎですけど。


『いってーな!!』


喧嘩にだけは巻き込まれたくない。


今自分が置かれてる現状は?


間違いなく巻き込む方。


気付けばあたしの顔は傷だらけになってて、教室中に女子のキャーキャー騒ぐ声。


色んな声が交ざって響き渡って煩くて、先生とか来てた。



あ〜あ。


ブス達のせいでまた学校来づらくなんじゃん。



家のベッドにダイブしたあたしは溜息まみれ。


頭の中で繰り返される。


何してんだろう。


『あー…』


出た結果は、得意の「わかんない」


あちこちに出来た傷も痛い。


もう良いや、って思った。


そしてこの日、夢をみた―…
< 94 / 116 >

この作品をシェア

pagetop