カナリアンソウル
「気にするだろ。アイツはガッツリ絞めといたから」


アイツ…


きっとあのブス女のことだ。


「俺の大事なヤツ傷つけたんだからな」


『それ、あたし?』


「おー」


何か素直に嬉しかった。


もし逆の立場であたしがブス女の方だったら、悔しくて仕方ないと思うけど。


『でもさ、あの人友達じゃないの?』


「ちげーよ。アイツ前からうざかったんだよね。遊ぼ遊ぼしつけーし」


『ふぅ〜ん』


そうはならないようにしようと心の中で静かに誓った。


「暴力は振るって無いからねっ」


陸斗は両手を顔の横でヒラヒラして見せた。


『女に暴力は怖いからやめて』


だからちゃんと話し合って解決したって!って陸斗はまた手をヒラヒラさせながら笑って言った。


「…なぁ」


『ん?』


「俺が卒業して、もしお前が俺と同じ気持ちだったら…」


『うん』


「付き合おう」


アバウトなんだけど、やっぱり嬉しい。


『それ。保障の無い約束になるね、』


あたし果穂の友達だよ?


気不味いのは嫌だからね。


「今はまだ、そうかもなあ〜…」


『今はまだ、ねえ…』
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