秘密のアイドル~仮面カブリノオ姫様~下
ディレクターさんのカウントが終わったと同時に司会者が大きな声で番組名を読み上げ、番組が始まった。
「今日は特別ゲスト迎えてますねーん、ハイ、この方!先日週刊誌に乙宮ちゃんと映ってた兄の乙宮新一君です~」
独特の枯れた関西弁で司会者が兄貴を紹介した。
「こんばんはー乙宮新一っす」
「あれやろ??お宅ら兄妹なんやろ??そやけどあんま似てへんなー」
アタシと兄貴の顔を見比べながら言う。
「そうなんすよ!子供の頃から似てなくて」
苦笑いな兄貴。
「しっかし、兄妹なのにカップルって誤報流されてかわいそーやなー、侑姫ちゃんなんかアレやろ?今ドラマで主演やっとるから余計報道陣凄かったやろ?」
「そうなんですよ。報道陣に追っかけられるのとか初めてでホント怖かったんですけど、うちのマネージャーを頼りに避けまくりましたね」
いつも純君は報道陣の壁も、ファンの男達の壁もいつもアタシの肩を包んで、人垣を越えてくれた。
「あー、侑姫ちゃんのマネージャー今俺らん中でも有名やねん!かなりかっこいいって!あっ、あれ?あの人やろ?」
咄嗟にカメラさんが純君にカメラを向ける。