秘密のアイドル~仮面カブリノオ姫様~下

stage26 ウザい女



「先輩!お久しぶりっす」


仕事場に着き、メイク室でメイクされていると後ろから聞き慣れない声が聞こえてきた。


「やっぴ!本当だ!久しぶりだね~」


鏡越しに確認するとやっぴと言う名前で売りだし中の後輩がいた。


アタシとは事務所だからか、なんかタイミングとか仕事の種類とかが違くってなかなか会えなかった。


「今日もキレ~すっね!」

やや売れっ子にはそぐわない口調でいつもアタシを信仰してくれる。


「いやん、やっぴったらいつも正直なんだから」

そう言ったらアタシの顔にチークを塗っていたメイクさんが笑いだす。


「きゃはは!!乙宮さんてやっぱり面白い!!否定しないんだ」

ここで否定したって、アタシが美人なことには変わりはない。

分かりきった美形をわざわざ否定するのも変だし、アタシはいつも肯定する。


「だって自分の美を肯定していくうちにもっと美に磨きがかかるような気がして…」

わざとふざけて芝居っぽく言った。


「先輩がやると本当っぽいから止めてくださいよ~、演技上手くてリアル~なナルシキャラに見えるっす~」


おどけながら言う道化者のやっぴ。



手を叩きながら爆笑するメイクアップアーティストの堀さん。


やっぴは年中こんな感じでまさに天真爛漫と言う言葉がぴったりな女の子。

どんどん売れていくアタシにも前と同じ態度で媚びたりもせず、仲良くしてくれていた。


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