どりーむタイムズ



 ―…と、こういう感じで少しつっかかりながらも今日の初めての授業は、無事に終了した。


 ―放課後。たぶん、井上以外のクラス全員が僕の周りに集まった。

「お前、すげーな。なんで、あんなに速く問題解けるんだ?」
「マジで頭良すぎじゃね?」


 あれが分かるだけで、なんで頭良いって言われるんだろう?僕、アッチではバカにされてたのに。
 …ここのレベルって、そんなに悪いのかな。

「深垢耶ー。本気で志望校どこ?」


 …志望校。?意味は分かるけど、高校に行く意味が分からない…

「高校…行かない。」
 僕は、そう呟いた。
「え!?深垢耶、高校行かないの?」
「なんで、なんで?」
 …女子達に騒がれるのは苦手なんだよな。

「………かも。」

 僕は、そう付け足した。

「その頭で高校行かないのは、どうして?」
 隣を見ると、真田さんが少し怒るような口調で言っていた。


「………高校に行く意味が分からないから…です。」

 一瞬シラケてしまったが、すぐに男子達からの笑い声に近い歓声が聞こえてきた。
 でも女子達の白い目線が、正直とてもキツかった。


「俺、深垢耶に一生付いてきます!」

 いきなり、金髪と茶髪の間みたいな髪の色の男子が叫んだ。

「なんだよそれー。藤些樹?またかよ。」
「俺、藤井些樹。藤些樹って呼んでくれ!」
 …藤些樹。


「ちなみに、俺は萱島颯。颯って呼んでなー。それと、これメアド。ケータイか、パソ持ってるだろ。メールしろよ。」

 …メール?

「こら!お前ら、早く帰ってテスト勉強しろ!」

 先生が来た。

「あ…じゃ、じゃあな。深垢耶。」

 皆が逃げるように帰っていく。


「……斉藤君も早く帰った方がいいよ。」

 真田さんが静かに僕に囁いた。


 …斉藤…か。


 そういえば、僕はどこに帰ればいいんだ?
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