どりーむタイムズ
「斉藤君?ちゃんと、話聞いてるの?」
「あ…うん。なんの話してたっけ。」
とりあえず、しばらくはアッチの事を考えないようにしよう。
「やっぱ、斉藤君に頼んだのは間違いだったかも…」
「ゴメン。今度はちゃんと聞くから、絶対。だから、もう一回話してくれない…かな?頼む!」
真田さんは大きなため息を吐いて、一瞬立ち止まったかと思うとまた歩きだした。
「……うん。実は私達のクラスはとにかく不良が多くて、今年だけで担任5人も変わったんだ。だから、そんな男子たちに学級委員を任せるわけにはいけないじゃない。かといって、後残ってるのはガリ勉とか不登校ぐらいなんだ。それでも、転入生の斉藤君にいきなり頼むのはどうかしてるよね私。ゴメン、今の忘れて。」
「考えとく。」
「え、うん。ありがとう。」
女は、難しい。でも時には僕達が難しく考えすぎている事もあるが、やっぱり難しい。
それでも男という生き物は、そんなややこしいものばかりを好む。
男は、とにかく不思議な生命なのだ。
僕は『考えとく。』と返事をしたけど、やる気は全くなかった。
でも、一応そのように返事をした。
僕達はまた、黙って歩く。