どりーむタイムズ
 ―そんな中で、朝学級が始まった。

「次は、男子の学級委員を決めるぞ。真田、一緒にやりたい奴はいるか?」

 …眠い。この世界では、すぐ体力を消耗してしまうみたいだ。

「はい。斉藤君が良いと思います。」


 真田さんが、答えている。
 …斉藤か。斉藤って、僕じゃん!

「え、でも転入してきたばっかりだしな…ま、しょうがないか。これで反対がなければ斉藤にするが、いいよな。」
「いいでーす。」
「え、ちょっと待って…」
「俺がやります!!」
 井上…が学級委員に、名乗りを上げた。

 僕はその方が、気楽でいい。

「え~!!井上かよ!」
「井上なんかに務まるわけないじゃん!!」
「彼女と一緒に居たいだけなんじゃないのかな~?」
「つ~か、斉藤君が来て焦ってんじゃないの?」

 でもクラスの皆は、また井上を笑い者にした。
 どうして井上を、そんなに除け者にするんだろう。
 見た感じでは、ただの寂しがり屋な奴…そんなに悪い奴には、見えないけどな。

「いや、俺は井上で…」

 そう言おうとした時、真田さんが僕を止めた。

「斉藤君?お願い!そんな事だけは言わないで。私、アイツと一緒にだけはやりたくないの。だから、お願い!学級委員、なってくれない?」

「じゃあ推薦より立候補を優先して、井上って事でいいな。」
「お、俺がやります!!」

「お!斉藤~!やってくれるのなら、推薦と立候補の2票で斉藤に学級委員を任せる!頑張れよ。」
「は…はい。」

 クラス中のテンションが一気に上がった。
 でも、僕のテンションは一番下まで下がっていった。


 ―て、手を挙げてしまった。これが、ノリっていうのか?
 つーか、なんで僕は簡単にコッチの環境に慣れてしまったんだろうか。

 そんな事を考えた僕だったけど、隣に座っている彼女の喜んでいる顔を見たら、どうでもよくなった。
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