どりーむタイムズ

けじめ

「なあ、斉藤。お前、本当にスゲーよ。」
「井上に初めから逆らえるなんて、お前はこのクラスの救世主だよ!」

 朝学級が終わった後、いつの間にかクラスのほとんどの人達が、僕の周りに集まっていた。

「…別に、大した事じゃないよ。」

 僕は、こういうふうに返答するので精一杯だった。

「あのさ、お前の事『深垢耶』って呼んでもいいか?」
「俺も!つーか、クラスでそう呼ばないか?」
「え!?女子も呼んでいいの?」

 コッチの名前よりは、アッチで唯一慣れ親しむ事の出来た名前で呼ばれた方が、ある意味でも楽だった。

「いいよ。どうせ前の学校でもそう呼ばれてたし。俺もその方が、気が楽だし。でも、なんで?」

 ―僕がその質問をしたら、一瞬シラケてしまった。
 …もしかして、軽く滑った!?…僕が?


 でも、そういう訳でも無いようだった。

 やがて、1人が話し始めた。ぶっちゃけトークで…。

「それがさー。斉藤っていう英語科なのに筋肉スッゲームキムキの、生活指導担当の奴がいるんだよ。」
「それなのにそいつ、自分が学校で一番人気があると思ってるんだぜ!!全く…やんなっちゃうよ。」
「てゆうか、次の授業斉藤じゃね!?」
「あ…マジだ。超やべーじゃん。」
「じゃ、とりあえず静かにしてればなんとかなるから。頑張れよ、深垢耶!」
「おぉ。」

 そいつは僕の頭を軽くつついて、自分の席に戻った。
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